夕日に輝く井仔脚
皇尚文創は今年2月、さらに台湾塩博物館の経営と北門井仔脚の瓦盤塩田再開事業を手がけた。
月平均3万人が訪れる台湾塩博物館は、台湾塩業史に関する豊かで充実したコレクションをそろえ、不定期ではあるが塩彫刻の展示も行う。昨年7月にはアニメ「あたしンち」を塩彫刻にした展示を催し、好評を博した。
北門井仔脚は、台湾で最も夕日の美しい場所として有名だ。皇尚文創で董事長補佐を務める高銘鴻によれば、台南は台湾の最西端に位置するため、毎年大晦日にはここで1年最後の夕日を見届けようという催しが行われる。また、冬に中国大陸から北門の潟湖に飛んできて越冬するインドアジサシは、バードウォッチャーに人気が高い。
ここには、「枯れ藤、老樹、黄昏のカラス。小橋、流水、砂浜」と詩に謡われた美しい風景があるほか、もう一つ、台湾に現存する最古の瓦盤塩田があり(1818年設立)、伝統の天日干しで製塩している。15ヘクタールに及ぶ塩田には、100平方メートルの結晶池が100近くもあり、そのうち六つを見学者の塩作り体験用に提供している。 1957年に台塩に入社、製塩技術員だった凃丁信は、定年退職した現在、この井仔脚塩田で技術指導に携わる。
「塩の花はカラスミと同じぐらい貴重です」と言うのは、井仔脚塩田ショップ店長の鄭貴蓮だ。塩の花は1年に1度しか採れない。東北からの季節風が塩田に吹き、上層に薄く固まるのが塩の花だ。ナトリウムの含有率が最も少なく、ミネラルが最も多いので、塩の中でも極上品とされる。
ほかにも皇尚文創では、カラーソルトで茹で卵を包んだ「雪塩焼」、塩の花入りコーヒー、林国明が「食べたら感動します」と称える「塩花アイス」など、さまざまな商品を売り出している。
今後、皇尚文創は「ソルト・ロハス村体験キャンプ」を行い、参加者に「塩の本(もと)」を体験してもらおうと企画している。「塩の本」とは塩造りにおける台湾人の営みや、自然を敬う精神を指す。また「ソルト・エコ・ツアー」も計画中だ。「クリエイティブな活動を通し、土地への愛、台湾の美、そして先人たちがいかにして台湾を作り上げてきたかを感じてもらいたいのです」と林国明は説明する。
もし石油がアラブ諸国の「黒い金」であるとすれば、塩は台湾の「白い金」である。クリエイティブな魅力で塩はますます輝くだろう。
台塩実業が販売する塩の彫刻作品「塩如玉」も人気がある。
劉素燕は通霄の「塩来館」でソルトアート創作の指導をしている。スプーンと竹串だけでさまざまな絵が描ける。
劉素燕は通霄の「塩来館」でソルトアート創作の指導をしている。スプーンと竹串だけでさまざまな絵が描ける。
「雪塩焼」を叩き割れば、中には食べられる塩焼き卵は入っている。
七股にある台湾塩博物館には、台湾の製塩業の歴史が展示されている。昨年はアニメ「あたしンち」をテーマにした塩彫刻の特別展も開かれた。
七股にある台湾塩博物館には、台湾の製塩業の歴史が展示されている。昨年はアニメ「あたしンち」をテーマにした塩彫刻の特別展も開かれた。
にがりを使った豆花作りや塩の花のソフトクリームなど、塩を使ったさまざまな関連商品が楽しめる。
にがりを使った豆花作りや塩の花のソフトクリームなど、塩を使ったさまざまな関連商品が楽しめる。