台湾だけのアイギョクコバチ
確かにアイギョクシは台湾だけのものである。台湾の固有種であり、それを可能にしているのはアイギョクコバチの存在だ。
苗栗区農業改良場の副研究員である林孟均はこう話す。「アイギョクシの木の繁殖は、体長3ミリのアイギョクコバチによる受粉だけを頼りにしています。アイギョクシは雌雄異株で、雌の木には雌の花嚢が、雄の木には雄の花嚢がつき、外からは見分けがつきません。花嚢の先端に3ミリほどの亀裂ができ、そこから特殊な匂いを放ってコバチを中へと誘い入れるのです」
「雄の花嚢に入り込んで全身に花粉をつけたコバチが、次に雌の花嚢に入れば受粉が完了し、愛玉ゼリーが作れる果実になります」アイギョクシの樹とアイギョクコバチの共生は、まさに大自然の不思議と言うほかない。
早くも20年前から、台湾の農家は中国大陸や東南アジアでのアイギョクシ栽培を試みてきた。台湾のアイギョクコバチも一緒に持ち込んだが、コバチはそれらの土地に適応できず、受粉できないまま死んでしまった。
林孟均によると、世界にはまだアイギョクコバチを人工繁殖する技術はなく、コバチは寿命も短いため海外へ持ち出すのも難しい。仮に中国大陸へ密輸したとしても繁殖は難しい。中国大陸にはアイギョクシに似た「薛荔」という植物があるが、ペクチンの量はアイギョクシに及ばない。この植物にも特有のコバチがいて、これをアイギョクシに用いることを試みた専門家もいるが、進化上、この2種のコバチは異なるグループに属し、薛荔のコバチはアイギョクシに興味を持たなかったという。
近年、中国大陸ではパイナップルやバナナ、ライチなど台湾農産物の導入に次々と成功しているが、アイギョクシだけは成功していない。これはまさに台湾に与えられた宝物なのである。
アイギョクシ産業を強化するために、苗栗区農業改良場では特定品種の研究を進めているが、そうした中でアイギョクシの胚細胞からの抽出物にメラニン色素の形成を抑制し、コラーゲン生成を促進する効果が発見された。中国医薬大学との協力で、細胞と動物実験を行なったところ、肌を白くし修復する働きがあることがわかり、美白化粧品の開発が可能になった。
苗栗区農業改良場の研究院・盧美君によると、通常はアイギョクシ子1個で200ミリリットルの愛玉ゼリーが作れるが、バイオテクノロジーを用いれば、美容マスク500枚、または美容エッセンス400本を作ることができ、原価率は低く抑えられる。現在、苗栗区農業改良場は技術移転先となるメーカーを探しているところで、商品化に成功すれば、アイギョクシ栽培の誘因になるだけでなく、まさに台湾独自の化粧品が誕生することになるだろう。
アイギョクシは45℃の低温で55時間乾燥させると、愛玉ゼリーのもとになる。
害虫に強い遺伝子を持つ苗栗一号は、正しく栽培すれば種子のいっぱい詰まった大きな実をつける。
アイギョクシの種をミネラルウォーターで揉み出すと、ミネラルとアイギョクシのペクチンが結合し、愛玉ゼリーができあがる。
愛玉ゼリーはショウガ入りの黒蜜や冬瓜茶、レモン汁などと合わせたり、金柑や梅を入れたゼリーにするのもよい。大人にも子供にも愛される自然食だ。
愛玉ゼリーはショウガ入りの黒蜜や冬瓜茶、レモン汁などと合わせたり、金柑や梅を入れたゼリーにするのもよい。大人にも子供にも愛される自然食だ。
愛玉ゼリーはショウガ入りの黒蜜や冬瓜茶、レモン汁などと合わせたり、金柑や梅を入れたゼリーにするのもよい。大人にも子供にも愛される自然食だ。
平地で育つ苗栗一号と二号は生産量が多く、収穫もしやすく、農家の収入を増やしてくれる。