極地への万里の長征
もう一つの物語は、より遠く広がっていった。邱銘源と張博鈞はツルの渡りルートを逆に辿ろうと、まず日本にもう一羽の迷鳥のツルを訪ね、そこから>I陽湖保護区に赴いて中国科学院の賈亦飛を訪問し、国際ツル財団とも接触して、財団のカメラマン鄭忠*Nと知り合った。彼は、シベリアにツルの撮影に遠征した最初のカメラマンである。次いで、莫莫格自然保護区に赴いて、地球温暖化の結果、ツルがいかに生息地と餌を失っているかを確認した。最終的には、政府文化部と緯創人文基金会より総額600万元の補助金を受けてシベリアの繁殖地に遠征することになった。
こういった活動は必要ではあるが楽なものではなく、ツルを利用しているという批判も受け、農家は土地徴収を警戒していた。こうした批判に対し、邱銘源は、地域への基金会の努力と貢献を見ていないと反論する。
2016年5月12日に、清水湿地に521日も滞在していたツルは台湾を離れて行った。その間、外国人1200人を含む延べ4万人余りがツルに会いにやってきた。これほどの近距離でシベリアのツルが見られ、蓮の花の間に舞うのを見られるという場所は、世界のどこにもないのである。
ツルが飛び立って1カ月後、シベリア探査隊は計画通り出発した。
7月、8月、9月の3カ月、シベリアのツンドラは白夜の美しい夏を迎えるが、それも一瞬のことで、北極海から強風が吹くと天候は一変する。探査隊はベースキャンプに滞在した7日の間に暴風に遭い、巣の撮影隊と連絡が取れなくなり、不安な一夜を過ごした。しかし、天が味方してくれたのか、雛鳥の孵化を撮影できた。
その後確認したその成果を挙げると、植物採集を担当した廖仁慧と邱銘源は、極地のツンドラ植物30種とコケ類14種に、トナカイの骨格1体、黄光أsは昆虫20種とハヤブサの観測を記録した。丁宗蘇はマンモスの牙を採集したが、これは採集許可がないと持ち出すことはできない。
鳥類については、鳥10種の巣の位置を発見し、少なくとも40種の鳥類を観測できたが、その多くは繁殖期の飾り羽をもつ個体であった。
張博٦vは、華人ドキュメンタリー監督としてソデグロヅルの生活史をはじめて記録し、ツルの繁殖記録を撮影した最初の台湾人となった。