華語文測験も一つの産業
「華語文測験も将来的には一つの産業として発展させられます」と陳組長は言う。華語文能力測験には13年の歴史があり、30数ヶ国で採用されている。「TOCFLのシステムがある程度まで発展して国際社会がこの検定を認めるようになれば、それは教育産業の輸出と言えます」と言う。
TOCFLのベトナムでの受験料は35万ドン(約500台湾元)で、受験料収入は年間100万元になる。ベトナムで市場が確立できれば、将来的には受験料引き上げも考えられると言う。
TOCFLは学生と社会人を対象とした中国語能力検定試験である。
学生にとっては、中国語能力の進歩を確認する手段となり、一部の大学の言語学科では卒業のための必須資格とされている。TOCFLは6級に分かれており、最高レベルの第6級は、非中国語圏で3840時間以上学習し、8000字の語彙を習得して翻訳に従事できるレベルである。大学や小中学校の教員になるには5~6級の認定が求められる。
ベトナムの学生が台湾に留学する際にもTOCFLの認定が求められる。台湾で学位を取得するために留学するには2級の認定が求められ、語学留学にも1級(または英語の基本能力)が求められる。中国語も英語もまったくできなければ、基本的な生活に支障をきたすからだ。
台湾企業の人材募集にも有益
就職にもTOCFLの認定が活用できる。介護など台湾で就労する際にも一定程度の言語能力が求められるし、ベトナムの現地で台湾企業が中国語のできる人材を探す際にもTOCFLの認定によってその能力を確認できる。
かつて、現地の台湾企業が人材を募集する際、「自分は中国語ができる」と言う応募者の言葉を信じて採用しても、実際にはその能力が不十分なことが少なくなかった。今ではTOCFLの認定を参考にすることで、本当に力のある人を採用できるようになっている。
現地の台湾企業の中には、従業員の中国語学習を奨励しているところもあり、ベトナム代表処教育組もこうした取り組みに協力している。これまでに味丹や大同奈陶磁、藍宝樹脂といった台湾企業で、従業員の中国語能力検定試験を行なってきた。「中国語能力の認定を得ることで昇格しやすくなるとすれば、それは大きな動機付けになります」と陳郁仁組長は言う。
我が国の教育部が推進するTOCFL(華語文能力測験)は国際標準にかなっており、これを採用するベトナムの学校や企業が増えつつある。(右の写真は駐ベトナム代表処提供)