往時をコレクション
「あちこちに分散した映画‧放送関係の資料を集めるのは大変ですが、今やらなければ将来はもっと難しくなるでしょう」と藍祖蔚は言う。
「1986年まで台湾では映像を保存するという概念はなく、貴重な文化遺産や社会の記憶が失われてしまいました。失われてしまえば、再び目にする機会はありません」
そこでセンターでは現在、漢声ラジオや警察ラジオ、TTVなどと将来的なライセンス提供を交渉している。昔の録音テープを提供してくれるパーソナリティや、資料を提供してくれる放送局もある。「私たちは過度な解釈はせず、本来の姿のまま保存します。それがセンターの仕事だと考えています」と藍祖蔚は言う。
関係者の口述資料も残さなければならない。「今後は、映画‧放送関係者を訪ねてオーラルヒストリーを記録し、台湾の映画‧放送史の再現にご協力いただくつもりです」と言う。
藍祖蔚と映画監督‧王童との対談をまとめた『王童七日談——導演と評論家の対談手記』という一冊がある。美術担当から映画監督になった王童に、背景造り、カメラワーク、シンボリズム、キャスティング、音楽、言語など、藍祖蔚が質問をして一つずつ監督の意図を掘り下げていく内容で、こうした生の素材も後の参考になる。
「私は常に自分に懸け橋の役割を課してきました。かつて私は橋の向こう側にいて、1960~80年代の素晴らしい景色を見ていました。2020年の今、こちら側の多くの人は橋の向こうの景色を知りません。私の仕事は橋の向こう側をこちらに持ってきて、皆さんに見てもらうことなのです」と藍祖蔚は言う。
台北の西門町へ映画を見に行ったというのは、台湾の多くの人にとって忘れられない青春の記憶である。(外交部提供)