世界に羽ばたく台湾の飛行シアター
世界に知られるテクノロジーの島である台湾はテクノロジー・アートのポテンシャルが高く、その勢いは私たちの想像を超えている。
今年オープンしたばかりの微風南山で、智崴(Brogent)グループが運営するi-Ride Taipei飛行シアターを訪ねてみる。SF映画のような空間を歩いて入る劇場では、椅子が浮かび上がり、巨大な球状のスクリーンの中へと入っていく。ビジュアルに風や湿気、香りなども加わり、全身で飛行を体験できる。
ソフトとハードを組み合わせたこの高度な技術には、前後、上下、左右に移動する空飛ぶ椅子の他、スポーツカー仕様のシートベルト、身体が揺れないネットの椅子、スチールアートのメーカーが製造した球状のスクリーンなどがあり、どれもがメイド・イン・タイワンなのである。
これらすべては、夢を追い、ジャンルを越えた能力を活かし、計画を推進するために問題を解決できる実践力を持つチームの手になるものだ。この飛行シアターのために台湾各地の隠れたチャンピオンを結集したのは、智崴グループの欧陽志宏CEOなのである。「台湾には、高級品に使う部品だけを生産する優れた中小メーカーがたくさんあります」と欧陽志宏は言う。
彼は技術者出身で、以前会社は携帯電話用のソフトを作っていた。十年前にテーマパークの義大世界がディズニーランドのようなフライング・シアターを作ろうと思ったが、すべての特許はディズニーが握っていて、それを越えるのは難しいと見られた。誰もが楽観しない中、彼は一千万を超える資金を投じて自ら開発し、アトラクション設備メーカーとしての地位を確立したのである。
現在この設備はディズニーランドのものにも劣らず、世界各国の大規模テーマパークに導入されている。シェアは6割に達し、欧米のメーカーからも手強いライバルとされている。
この事例からも分かる通り、テクノロジーと文化は相容れないものではないのである。
曾煒傑は起業して何年にもなるが、新たなプロジェクトが始まるたびに今もわくわくすると言う。