勝敗のカギはデジタル化
コロナ禍で、逆にソフトウェア産業は伸びている。9月、スタートアップ企業のiCHEF(資厨)は、研究開発部門拡張のために1.5億元の資金募集を発表した。
iCHEFは合理的な価格で使いやすいPOSアプリを提供している。注文から売上分析、原価管理まででき、デリバリー‧プラットフォームやフェイスブックともリンクしているため、人件費削減や顧客開拓にもつながる。彼らは、独自にシステムを開発できる大企業ではなく、中小の飲食店をターゲットとしており、台湾では最大のシェアを誇る。顧客は香港やシンガポール、マレーシアにもいて、コロナ禍で年末には顧客数が9000を超える見込みだという。
個人経営の飲食店を主な顧客とするiCHEFの呉佳駿によると、新型コロナウイルスが発生する前からデジタル化を始めた店舗も、多かれ少なかれ影響を受けたが、その後ネットでの注文が急速に伸びたことで売上低下を抑えることができた。これに対して感染が拡大してからデジタル化の準備を始めた店舗では「デリバリー‧サービスに高い手数料を支払うこととなり、しかもその使い方に適応できず、デリバリー‧プラットフォームでの評価も最も低いのです」と言う。
「これまではリアルな経済しか存在しませんでしたが、コロナ禍は誰にも平等に襲いかかっています。今は新しいデジタルサービス形態があるのですから、それを利用した店こそ成長していけるのです」と言う。
コロナ禍で飲食業界は入れ替わりが進み、生まれ変わろうとしている。林明健は家賃の下落を見て、4店目の開店を目指している。呉佳駿が言う通り、デジタル‧トランスフォーメーションは道具ではなく考え方の転換なのかも知れない。