双方ともにメリットがある
千里歩道協会はフレンドシップ・トレイルのマッチングを行なうに当たり、トレイルの特性に従って提携先を選んだ。青い太平洋を見下ろす台湾東北角の草嶺古道は日本の気仙沼・唐草コースと、温泉も楽しめる礁渓の跑馬古道は、同じく温泉のある日本の大崎・鳴子コースと提携、歴史・文化遺産の多い台湾の金子碑古道は日本の奥松島コースと、そして双方ともに田園風景を楽しめる基隆の暖東峡谷トレイルと日本の登米コースをそれぞれ「友情の道」とした。
マッチングにおいては、双方が先に会うことはなく、千里歩道協会が「仲人」となってお見合いをする形となった。特に台湾側の担当機関の一部は2023年11月に日本で序幕式が行われる時に、初めて自ら宮城オルレを歩いたのである。
草嶺古道を代表して宮城で協定を締結した、観光署東北角および宜蘭海岸国家風景区管理処の馬惠達・前処長も、気仙沼・唐桑コースを歩くのは初めてだった。そこで、千里歩道協会の執行長である周聖心が、「いかがですか」と問いかけたところ、「本当に美しい!」と答えた。
また、跑馬古道を代表して協定に署名した、林業および自然保育署の陳建忠は、跑馬古道と鳴子温泉には同じようにアスファルトの道路や産業道路と手作業で整備したトレイルがあり、「とてもよく似ていると思います」と語った。いずれも森林浴と温泉が楽しめ、ツバキを観賞することもできる。
植物学者でもある陳建忠は奥松島コースの林相にも驚いた。台湾は世界のモミの木の南限だが、標高3000メートルまで行かないと見ることができない。だが、奥松島は緯度が高いため、標高100メートルでもモミの木が生息している。また、台湾の海辺に生えるトベラやプエラリアがここの平地にも生えており、台湾の標高3000メートルまでの林相がここの100メートル以内に凝縮しているのである。
「台湾の暖東峡谷と日本の登米コースは、とても良い相互補完の関係にあります」と語るのは、暖東峡谷の代表として協定に署名した基隆市観光発展科の潘叡穎だ。双方ともに沿道に文化遺産があり、暖東峡谷は垂直の峡谷であるのに対し、日本の登米トレイルは広々としているからだ。
「双方ともに良い感覚を持っていただき、マッチングは成功したと言えるでしょう」と周聖心は語る。
千年の歴史を誇る御崎神社。鬱蒼としたクスノキの林の中にある。